こんにちは。国際アロマセラピストのちぃころです。
「アロマセラピー=癒し」というイメージがありますが、アロマセラピーの効能はもっと他にもあるということをご存じでしょうか?
アロマセラピーには癒しだけではなく、落ち込んだ心を元気にしたり、怒りを鎮めてイライラするきもちを抑えたり、たくさんの効能があります。
今回は、そんなアロマセラピーの心への効能について書いてみたいと思います。
アロマセラピーの一番の効能とは?
よく、「アロマセラピー=癒し」として言われることが多いですが、私自身、アロマセラピーの一番の効能は癒すでも治すでもなく「整える」だと認識しています。
整えるとは、「その人自身のフラットな(普通な)状態に戻すこと」です。過度な緊張や怒り、不安、または過度な嬉しさや興奮もなく、穏やかでフラットな心の状態に戻すのを助けること。
暑くもなく寒くもない、ただただ太陽が出ていて風もあまりない穏やかな晴れの日。そんな感じの調子の良い心や身体の状態にすることです。
アネルズあづささん著の「香りを知る・楽しむ・活用する アロマセラピーパーフェクトBOOK」の中に、こんなコラムがありました。
私が以前大学で行った実験を紹介しましょう。
気分的に落ち込みを感じているグループと高揚を感じているグループに分け、両方のグループに全く同じオレンジスイートを活用しました。(補足:オレンジスイートには高揚と言って、気分の落ち込みを緩和して明るい気持ちにさせる作用があるとされている)
私自身は、この精油の特徴として、落ち込みを感じているグループのみがバランスが整えられて高揚を感じるように予測していたのですが、結果は、高揚を感じているグループも落ち着きを取り戻し、平常心になるという結果になったのです。
つまり、両方のグループにバランス作用が発揮されて落ち込みを感じるグループと高揚を感じるグループというまったく違う症状であっても、それぞれ正常なバランスを取り戻すという結果になりました。
本来なら気持ちを高揚させる能力が高い精油を使ったのに、元から高揚している人も平常心になったのは驚きです。
これこそまさに、精油のバランスを整える力が発揮されたいい例です。フラットな心の状態に戻ったんですね。
ただ、「整える」ことが精油の基本的な効能だと言っても、精油にはそれぞれ「気分を落ち着かせる」や「気分を高揚させ明るくさせる」といったように得意分野はあります。
では、具体的にどんな心身の状態に、どんな精油が効きやすいのか。それぞれの効能別にご紹介していきます。
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精神的疲労からの回復
オレンジ、サンダルウッド、ジュニパー、ゼラニウム、タイム・リナロール、ティーツリー、バジルスイート、パチュリー、ヒノキ、プチグレン、ブラックペッパー、ペパーミント、ベンゾイン、マージョラムスイート、メリッサ、ローズウッド、パイン
見ての通り、たくさんの精油が精神的疲労を回復するのに役に立ってくれます。アロマセラピー=癒しという概念になってるのも、こういうところから来てるのかな?
でも、もちろん各々の精油で香りも違いますし、効き方も違うんです。そこで、私なりに以下のようにグループ分けしてみました。
- ふんわりと優しい香りで包み込んで疲労の回復に役立ってくれる
オレンジ、プチグレン、バジルスイート、ベンゾイン、ローズウッド、メリッサ、ゼラニウム
- ハーブや森林の香りで深呼吸を促して疲労回復に役立ってくれる
タイム・リナロール、スイートマージョラム、ジュニパー、ヒノキ、サンダルウッド、パイン
- シャキッと目が覚めるような香りで疲労した心に元気を取り戻させる
ブラックペッパー、ペパーミント
- 深いリラックスを促して心を休ませてリセットする
パチュリー
大まかに言うと、リラックスを促して休ませることで疲労を回復させるか、刺激して元気にするかに分かれています。どの形であったとしても、精神的疲労の回復には、アロマディフューザーを使っての芳香浴がおすすめです。
イライラの緩和
ベンゾイン、フランキンセンス、ネロリ、グレープフルーツ、カルダモン、オレンジ、イランイラン
イライラに効く精油には、怒りのボルテージを下げる甘い香りや、温かみのあるちょっとスパイシーな香りが並んでいます。怒りは本当にコントロールが難しい感情の一つなので、0.2秒で脳まで届いて気分を変えてくれるアロマセラピーは大いに役立ちます。
私も生理前などでどうしてもイライラが募りやすいときには、グレープフルーツとイランイランなど、2種類ほどを一滴ずつティッシュに垂らしてデスクやベッド周りに置きます。
無理なくイライラが抑えられて穏やかな気持ちを保つことができるので、みなさんも上記の中から好きな香りを選んでやってみてください。
不安からの解放
イランイラン、ジャスミン、ネロリ、パルマローザ、プチグレン、ベルガモット
不安で心がいっぱいでその状態に負けそうなときありますよね。そんなときに支えになってくれる香りです。不安には様々な原因があり、その原因が何かで効く精油が変わってきますので、少しグループ分けをしてみました。
- イランイラン、ジャスミン
非日常の特別な休息を与えてくれる香り。不安な事柄から一瞬離れて、少し遠くから客観的に見ることをサポートしれくれるような香り。
イランイランもジャスミンも甘めなお花の香りで人によっては強く感じることも。最初はディフューザーに1滴だけなど、少量から使うといいと思います。
- ネロリ、プチグレン
仕事などで大きな責任があり、常にどこかでその不安を抱え、でもそれを立場上あんまり表に表すことができない人に。抑え込んでいる感情を表現して気持ちを整理し、「気軽さ」「気楽さ」を取り戻すのに役立ちます。
おすすめの使用方法はアロマバスです。粗塩30gに2滴ずつ混ぜてお風呂にいれると、優しい香りに包まれながら温まることができます。
- パルマローザ、ベルガモット
受験や資格取得、就活、転職活動など、目標に向かって頑張っているときの不安感の緩和に。そっと労わってくれる優しさもあると同時に、前向きに元気にさせてくれる香り。起きたことに柔軟に対応して、穏やかな気持ちを保つサポートをしてくれます。
この2つは、勉強や活動の息抜きの時間にほんのりと香らせると効果的です。マグカップにお湯をいれてそこの2~3滴ほど入れておくとゆっくりと香りが広がります。
落ち込み・無気力の解消を助ける
グレープフルーツ、ローズオットー、ユーカリラジアータ、メリッサ、ペパーミント、タイム・リナロール、バジルスイート、ベルガモット、ジュニパーベリー
幸福感をもたらす香りや、スッキリとしているけれど刺激になりすぎず、元気を回復させてくれる香りが並びます。落ち込みから抜け出せないときや、元気を出したいのに無気力な状態が続いて焦りが募るようなときには、私はよくアロマを炊いてプチ瞑想をします。
瞑想と言っても、テレビや雑誌でみるような、ちゃんとしたポーズでピンとした姿勢をとってするものではなく、アロマを炊いてその近くで大の字になり目を閉じます。そして体全部の力を抜いてボーーっとするだけ。(笑)
なるべく香りに集中して、頭の中に浮かび上がってきた考え事は、そのつどスッと消えるイメージをして消していきます。良いことも、悪いことも、どちらでもないことも、全部消していく。ひたすらそれを繰り返す。
時間も何も決めずに、もういいかなーってところまでやって起き上がると、自然と少しスッキリしています。
完全に自己流ですが、この時間を1日に5分でも持つようになってから、一つのことにとらわれたり、落ち込むことも減りました。
時間は、お昼でも、夜寝る前でも、いつでも大丈夫。是非試していただきたいオススメの使用法です。
過度の緊張を緩ませる
ラベンダー、イランイラン、カモミールローマン、オレンジスイート、クラリセージ(※)、ジャスミン、ネロリ、パチュリー、フランキンセンス
緊張するとどうしても呼吸が浅くなりがち。その呼吸を深くして、同時に心拍数も落ち着かせてくれるのが、ここに並んでいる精油たちです。人前に出る前や、新しい職場や学校に出向くときのドキドキ、試験やプレゼン前の緊張など、誰しも1回は経験があるのではないでしょうか。
そんな緊張感を辛く感じてしまう時には、ハンカチや折りたたんだティッシュに上記の中から好きな香りを1滴垂らして持ち歩くと、ここぞというときの気分転換に役立ちます。
(※)クラリセージは、車の運転をする前や飲酒前後は避けてください。
興奮状態を落ち着かせる
マンダリン、ローズウッド、レモングラス、スイートマージョラム、ベルガモット、ベチバー、プチグレン、サイプレス
気ぜわしい日が続いて、なかなか興奮状態が収まらず、周りに対して攻撃的になってしまうときなどに。あれもこれもやらなきゃーなどとずっと頭で考えていると、余裕もなくなりますし、思い通りに事が進まないとついついイライラしてしまったり。そんなときに、心の熱をとり、高ぶった神経も感情も鎮ませてくれる香りです。
頭のどこかで興奮状態が続いていると、頭に血が昇りやすくもなっています。こういうときには、アロマを使った足湯がおすすめ。足首ぐらいまでつかる洗面器や広めのバケツに40度ほどのお湯を張り、粗塩10gに好きな精油を2滴ほど垂らしてお湯に混ぜて足をゆっくりつけるだけ。頭に集まってた意識が下に降り、気持ちも落ち着きます。
喪失感・悲しみを楽にする
ジンジャー、ネロリ、ヒノキ、フランキンセンス、ベルガモット、メリッサ、ローズオットー、ローズアブソリュート、
悲しみに効く精油として並んでいるのは、温かみを感じる香りばかり。嗅いでいるだけで体温が上がるとかそういう効果ではありませんが、心がほっこりと温まって緩むものばかりです。
温かい紅茶などを飲んだ時って、思わずほっと一息つきますよね。あの安らかな時間と似たような感覚を提供してくれます。
そんな精油の活用法は、足浴や手浴がおすすめ。
特に、気軽にできる手浴は香りも感じやすく、温かいものに包まれている感覚になれるのでお勧めです。手首までつかるぐらいの小さい洗面器に38度くらいのお湯を張り、そこに粗塩10gか植物オイル10gに精油を2滴ほど垂らしたものを加えて混ぜ、手をつけてリラックスしてください。5分から10分ほど、少しずつ温かいお湯を足しながら行うと、手だけではなく、腕や肩もじんわりと温まります。
マタニティケア・産後うつの予防、改善
オレンジスイート、レモン、ベルガモット、グレープフルーツ、ユズ、マンダリン、ネロリ
ここには、妊娠初期から産後までずっと使えて役立ってくれる精油だけを書き出してみました。
アロマセラピーでは妊娠中には絶対に使用できない精油もあり(※)、初期、中期、後期、産後と、役立ってくれる精油も少しずつ変わって来ます。ですが、上記の柑橘系の精油は初期~後期、産後までずっと使える精油たちです。つわりの時から不快感を抑制するのを助けてくれたり、出産に対する不安感や産後の精神的疲労にも幅広く効いてくれると評判です。私もまだ出産を経験したことはなく、実体験に即したお話は書けないですが、もし妊娠の機会があればいっぱい活用してみようと考えています^^
(※)妊娠中使えない精油…カモミール各種、カルダモン、クラリセージ、クローブ、サイプレス、シダーウッド・アトラス、ジャスミン、ジュニパー、ジンジャー、ゼラニウム、タイム、ティーツリー、ニアウリ、バジル、パチュリー、パルマローザ、ベチバー、マージョラムスイート、ミルラ、メリッサ、ユーカリ、ラベンダー、レモングラス、ローズ各種、ローズマリー各種 (妊娠初期、中期、後期で使える精油と使えない精油は少しずつ変わります。今回ここにリストアップしている精油の中には中期以降は使えるものや後期以降に使えるものも入っていますが、念のため全て妊娠中使えない精油として書かせて頂いています。)
アロマセラピーの心への効能まとめ
今回は、アロマセラピーの心への効能について、心の状態別に書き出してみました。
アロマセラピーの一番の効能は「整える」ことであり、
などの心の状態に効果を発揮し、フラットで穏やかな心持ちに戻すことを助けてくれます。
それぞれに少しずつ活用法も載せてみました。どれも私自身が行っている使用法です。
国際アロマセラピストを名乗っておきながらかなりの面倒くさがり屋で、簡単な方法ばかりになってしまったのですが(笑)、本当にすぐにできるので是非お試しください!